『シソ』

この世であなたの味に
舌でふれたもの
こぼれる風味噛み締め 忘れない
ahh シソが香りゆく

刺身では 料理の脇役
ともにあって食べたツマすごく
うまい ずっと
箸が進み止らなくて
味わうことだけで
愛してゆくツマを

少しでも使いたくて
痛むところを
どんな大変だって
切り取ってしまうのよ
こんなにあなたを切って
手に移ったの
香る紫の爪 忘れない
ahh シソで染まる指

君がただ 見当たらないとき
売り場の中 大葉を探し
かがみこんだ
束を掴み
ときめくのよ
不思議と高鳴るの
私の駆ける鼓動

もうすぐ私のもとに
感動が届く
だからこの胸騒ぐ
今すぐ食べたくて
色めくあなたの青葉
胃に入れたとき
世界は生まれ変わる
目が覚める
ahh 味覚が広がる

少しだけ舌が肥えて
痛んでないの買う
どんな高級シソも
きっぱり迷わない

このシソ 油に入れて
てんぷらにする
香る旨み嗅いでて忘れてた
ahh シソが溶けてゆく
油に溶けてゆく