『邂逅』

有り余る忠義
身を支配した誓いに汚された
へつらい媚びて咲いて散る
業な子ども誰に怨まれて死なん

翼をもがれたあの鳥
蒼い空に泣く夜は
孤独さえも夢うつつ

氷が解け始めた窓に
そなたの輪郭の影重なって
私はまた障子をいたずらに開ける

愛されること知らぬ
子を縛りつけ苦界に貶めた
欲しがるものはこっちにあると
そんな嘘で罪に埋もれてしまった

利益もなく人斬り捨てる
私が命じるまま

屍は口閉ざす 殺している意図
誰も教えないのに
一体何を信じてる

争うごと血に濡れ
刀は朱く背中に傷跡を付けて
あっけなくもひびわれた
心は重く
いずこに安らぎを見る

冬の中冷たくかじかむ
つぎはぎだらけの指先で

最期(おわり)になど死に急がないで
もろうでに掻き抱いて

哀しみを切り裂くから

犯した罪さえ火葬させるまで

灰降る岩壁の
死の淵を見て視界を閉ざされた
愛別離苦に寂しく震え
こんな世なら魂売られてもいい

愛する子よ されど
哀しみだけを背負って足跡を残すのなら
どうか半分私に
答え任せて
ここを死に場所にして
逢いたい いつでもそなたに

 

人斬り修羅道の裏編。
子どもを拾った主の話。

 

背景(c)Ava Verino